月別アーカイブ: 2012年5月
十四間川環境再生事業報告(1) 覆砂事業が始まりました
十四間川環境再生協議会の事業計画について先にご紹介しましたが、早速今日から、その第一弾として「 覆砂による土砂採取跡地(窪地)の修復、環境改善事業」のための砂の運搬作業が開始されました。
雨模様の中、5台のダンプカーが忙しく往復しながら、斐伊川から砂を運んでは降ろしています。計画では、今日から2週間をかけて、斐伊川河口から約3,000㎥の砂を運搬することになっています。延台数は、約620台となるということです。
覆砂場所は、昨年ヨシの植栽を行った場所から下流側200mの区間で、数か所に分けてダンプカーから直接十四間川堤防の外側に砂を降ろし、バックホーなどの重機を使って、水面ぐらいの高さに砂を置き、なだらかな砂の浅場を造成します。
これによって、生物の生育環境を改善し、シジミやエビ、アマサギ、シラウオ等の魚介類の繁殖効果について、検証しようとするものです。
明日には、魚類の生息状況調査も予定されており、十四間川環境再生事業もいよいよ本格的に動き出したという感があります。
アサザ観察日記 (5月13日)
5月13日のアサザの様子です。
10日前よりも葉っぱが一段と大きくなって、水に浮かぶ数もたくさんになってきて、ちょっとした群落になりつつあります。大きい葉を選んで計ってみたら、楕円型をしている葉の長い径の方は、10cm~12cmあり、短い径の方は、8cmでした。
詳しく調べてみないとはっきりしませんが、松江分地内には少なくとも5、6個の群落がありそうです。
ヨシの生育状況報告(5)
5月のヨシの生育状況をお知らせします。
5月に入り、初夏を思わせるような日があったりしたことから、ヨシも大きく変化を遂げていました。
大きな芽は、30cm程度になっていますが、残念ながら砂に埋もれたままでまだ芽が出ていない株もあります。そして、芽の出た株も、大きく元気な芽がたくさん出ているものもあれば、小さくまばらにしかでていないものもあります。植えた場所、株の大きさ、植え方などによって芽の出方が大きく異なってしまうようです。
適度な水があること、あまり深くても、水がなくてもよくない。株は、大きなものほど勢いが良い。砂に埋まってしまうと芽が出ないか、出るのが遅れる。株を植えるよりも砂をかけずに竹串で止めるだけの方がよく芽が出るようだ。といったことが言えそうです。
今年植栽をする際には、こうしたことを参考に、植え付け方を工夫する必要があるのではないかと思いました。
そして、腹付地に蒔かれた芝の方ですが、こちらも大分緑が濃くなってきました。
2012年5月の漏水調査の報告
調査日時
2012 年(平成 24 年)5月 13 日(日) 午前 8 時
天候
晴れ
調査結果
十四間川水位 35cm(前月:40cm)
漏水量 調査地点1 1,200ml/分(前月:1,200ml/分)
調査地点2 200ml/分(前月: 200ml/分)
調査地点3 200ml/分(前月:300ml/分)
調査地点4 100ml/分(前月:150ml/分)
今月も宍道湖の水位は先月とほとんど変わりません。この3か月間は5cmほどの間を上下しています。
漏水量の方も、調査地点1、2は先月と全く同じで、調査地点3、4も先月より多少減少した程度で大きな変化は見られませんでした。
2011年1月以降の漏水調査データは、以下に掲載していますので、併せてご覧ください。(クリックすると別にウィンドウが開き、表示されます。)なお、調査地点3、4については、先月からデータを取り始めたばかりであり、載せておりません。
[PDF]十四間川左岸堤防漏水調査データ(2011年1月~2012年5月)
以下に今月の調査の様子を紹介します。
小さな生命たち
田植えの終わった田んぼは、夜になるとカエルの大合唱です。地元の者は慣れているから何ともないのですが、ゴールデンウィークに都会から帰省した人にとっては、なかなか眠れなくて大変だったかもしれません。
そして、水の張られた田んぼには、カエルの卵があちこちに浮かんでいます。
よく見ると、田んぼにはこのほかにもいろんな小さな生き物たちが動き回っています。
パイプラインから給水されるので、用水機場から吸い上げられ、パイプラインを通り抜けてやってきたのでしょうか。不思議です。
アメンボもたくさん泳いでいます。
そして、あまり見たくないこいつの姿も。
人の血を吸うヒルです。昔、こいつに血を吸われたことを思い出して、見ただけでとぞっとします。今は、機械化が進んで、ほとんど人が水田に足を突っ込むこともなくなったので、ヒルにとってはさぞ住みにくい世の中になったことでしょう。そのことを思うと少し気の毒な気もしてきます。
このほかにミジンコもたくさん泳いでいますが、残念ながら小さすぎて写真には写りません。
このように水田には、たくさんの小さな生き物たちが帰ってきています。農薬や除草剤の使用が控えられて、彼らの住む環境がよくなってきたのだろうと思います。
花盛り
アサザ観察日記 (5月2日)
アサザの様子が気になって、久しぶりに集水路に出かけてみました。
この前見に行ったのが4月20日ですから、あれから10日あまり経っています。行ってみると、この前よりもずいぶん葉っぱも大きく成長し、楕円形の葉の長い径の方が10cmくらいにはなっていて、何枚もの葉が固まって浮いています。そして、水の中にも小さな葉があって水面を目指してどんどんと茎を伸ばしてきています。
全体の様子は、こんな感じで結構広範囲に浮かんできていますが、これからさらに増えていって水面を覆いつくすまでになってほしいものです。
残念ながら、ここのアサザは花が咲かない系統だということですが、できれば一輪でも花を見てみたいものです。
そして、アサザのことをいろいろと調べていたら、茨城県の霞ヶ浦ではアサザを湖再生のシンボルとし、アサザの里親制度などでアサザを守り、育て、増やす取り組みをしていることを知りました。
霞ヶ浦は、アサザの群落があり、夏には可憐な黄色い花が一面に咲くので有名なところらしいのですが、ここでも絶滅の危機にさらされており、再生のためのさまざまな取り組みがなされているということです。それと同時に、湖面にアサザが繁茂することによって、波が弱まり、その下が小さな生きものたちの棲みかとなって自然を呼び戻すことができるということで、アサザ基金という団体を立ち上げて、アサザを絶滅から救うプロジェクトを実施しているということです。
その一環として、アサザの里親を募り、アサザの苗を育ててもらい、それを湖に植えることによってアサザの群落を増やしていくといったことが行われていて、そうして可憐なアサザの花畑を霞ヶ浦に復活させ、さまざまな生きものが暮らす豊かな湖、「100年後にトキの舞う霞ヶ浦・北浦」を取り戻していこうということのようです。
私たちは、ヨシを植えることによって葦の原を復元し、宍道湖を昔のような豊かな湖に戻そうとしていますが、植える対象は異なっていても、目的、考え方はまったく一緒です。
それに、この地域はアサザの県内唯一の生育地でもあります。宍道湖にはヨシを、そして内側の川や集水路にはアサザを増やして豊かな自然環境を取り戻せたら最高ではないかと思います。
これからヨシとともにアサザも大切に見守り、育てていけたらと考えています。