松江分自然環境倶楽部広報誌「葦の原」第一号 発刊

松江分自然環境倶楽部広報誌「葦の原」第一号を発刊しました。松江分自治会各戸、出東地区各自治体、他関連団体等に配布する予定です。

以下の表紙画像または、下部のリンクをクリックすることでダウンロードできます。

「葦の原」第一号

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「葦の原」第一号の目次は以下です。

  • 特集
    • ヨシ植栽活動を実施!
  • 連載
    • 専門家に聞く「簸川平野の成り立ちとヨシ原再生の意義」(第1回)
    • 語り継ぎたい松江分の歴史と生活 その1
  • 寄稿
    • 未来に残そう!きれいな宍道湖 出雲市議会議員 伊藤繁満
    • 自然豊かな水辺を後世に 斐川漁業会会長 原俊雄
  • 松江分今昔
  • 報告
    • 12月出雲市議会 宍道湖西岸の沈下と漏水が取り上げられる
    • ヨシ植栽活動が報道される
    • 十四間川左岸堤防漏水調査データ
  • 倶楽部から
    • 松江分自然環境倶楽部の発足と広報誌の創刊に当たって
    • 活動の記録(2010年6月〜2011年12月)
    • 役員

広報誌「葦の原」は年2回発行します。次号は2012年6月末頃発行の予定です。

十四間川の覆砂工事始まる

平成 23 年度の湖沼自然浄化活用事業として、十四間川の覆砂工事が開始されました。

これは、島根県環境政策課が実施するもので、砂を湖底に撒くことによって、
湖底からの栄養塩の溶出を抑制したり、1mm 以上の底生生物(マクロベントス)の生育環境を作って、湖沼の自然浄化機能を活用し、良好な水環境を作り出すことを目的に行われるものです。

本年度は、昨年腹付工事が行われ、私たちがヨシの植栽を行った場所のすぐ下流の十四間川中心部付近に約 50cm の厚さで覆砂が行われ、来年度も実施される計画です。

先日から、斐伊川河口から覆砂用の砂の運搬が開始され、10 トンダンプが堤防の上を通って、ヨシの植栽の隣に砂山を築いています。私たちのヨシの植栽活動との相乗効果で、自然環境が回復が進み、漁獲量の減少が心配されている
シジミなどの資源の回復にもつながってほしいものです。

手前が腹付工事&ヨシの植栽場所、砂山の奥に見えるのが出雲縁結び空港ターミナル

バケット付クレーン台船

ヨシ植栽した堤防に芝の種子が播種されました

昨年、私たちがヨシを植えたときは、堤防の湖側に張り出した腹付工事部分は、土がむき出しになっており、雨による流出が心配されていましたが、このほど出雲県土整備事務所によって、芝の種子が播種されました。

全面に芝の種子が入ったシートの上にコモが敷かれ、目土が薄く撒かれ、荒縄でコモが風に飛ばないようにしっかりと押さえられています。

いつごろ芽吹いて青々とした芝生が姿を現すのか分かりませんが、私たちが植えたヨシと競い合いながら早く芝生の広場が出現してほしいものです。そして、子どもたちの遊び場、大人たちの憩いの場となってほしいと願っています。

ヨシ植栽当日(2011.11.27)

芝種子の播種工事後(2012.1.27)

芝付の様子(2012.1.27)

ヨシの生育状況報告(1)

ヨシの植栽を行ってから約 2 か月、倶楽部では、1 月の漏水調査からヨシの植栽場所から 5 地点を選んで、定期的に定点観察を行うこととしました。

漏水調査は、原則として第 2 日曜に実施していますが、1 月はトンド焼きの準備など自治会の行事との関係で、1 月 22 日に実施しました。その時に撮影した写真です。

まだ 2 か月しか経っていませんし、植物が芽を出す春はまだまだ遠いので、
ご覧のとおり何の変化も認められません。むしろ、植えた時にはもっとたくさん立っていた上部の枯れ枝が波に洗われて、心細くなっています。

しかし、やっぱり芽が出てくるのが待ちきれなくなって、翌週の 1 月 28 日またヨシの様子を見に行ってみました。

やっぱり表面から見たところは何の変化もありませんが、少し掘ってみると・・・・・まだ小さくて白っぽいですが、地面の下ではちゃんとヨシの芽が伸びてきていました。近くの枯れ枝の根元も地面の下の部分は、まだ緑が残っていました。葦の原から掘り取られて新しく植えつけられた地面の下でも、しっかりと根付き、春の準備が進んでいるようです。

春には、優しい色の新芽となって伸びてくれるよう祈りながら、寒さにやられないようにそっと埋め戻してやりました。

ごあいさつ

松江分自然環境倶楽部会長 福田 直孝

松江分自然環境倶楽部は、出雲市斐川町黒目地区松江分自治会の住民 60 余名が集い、昨年(平成 23 年)4 月に発足いたしました。

活動の目的として、私たちが住んでいるこの豊かな自然と環境を守り、育み、そしてそれを将来に引き継いでいくことを掲げています。

私たちの住む松江分は、築地松で有名な簸川平野の東端に位置し、西は宍道湖の西岸、南は入り江状になった十四間川の堤防に囲まれた中にあります。十四間川を挟んだ南側は、県営出雲縁結び空港があります。宍道湖景観形成地域に指定されており、辺り一帯は、宍道湖の自然とのどかな農村風景が広がっています。そんな田舎ですが、道路も上下水道も整備され、生活に不便は感じません。都市部に住む方からみれば、私たちの住んでいる地域は、自然に囲まれたとても優雅で快適なところと映るかもしれません。

しかし、よく見ると、宍道湖岸やそこに流れ込む河川のほとんどは人口の護岸に変わってしまっており、それは、私たちの住む松江分地区においても例外ではありません。水辺にヨシやマコモ、ガマなどが生い茂り、夏には息苦しいほど濃密な緑の空気に支配され、ヨシキリや水鳥のやかましいほどの鳴き声が満ち、魚やシジミが群れていた昔の面影は、今やほとんどありません。水は濁り、流れ着いたごみが散乱する人工の水辺に次第に近づくことも稀になり、いつしか昔のような水辺と親しむ生活とは縁遠いものとなってしまいました。

そうした中で、私たちの地域を守っている堤防の沈下が進み、さらには漏水で生じているということが分かり、大きなショックを受けました。宍道湖の水面よりも低いところにある私たちの地域にとっては、堤防の異変は大変な出来事です。直ちに陳情し、関係方面の理解を得て、補修工事に着手していただきましたが、地元に住む者も、堤防はもとより自分たちの住む地域の環境を自ら守り、改善し、将来に引き継いでいかなければならないのではないかと自治会内で話し合い、自治会メンバーだけでなく、地域に住むより多くの者が主体的に参加し、活動できる組織を作ろうということになり、松江分自然環境倶楽部の発足となりました。

昨年 11 月 27 日には、葦の原の復元再生を願って、補修工事の終わった堤防の水辺にヨシの植栽を行いました。この活動に対して、しまね自然と環境財団の助成金を得たのをはじめ、NPO 法人自然再生センターほかたくさんの組織、方々のご支援を得て、大成功のうちに植栽事業を終えることができました。

そして、この活動を一回限りのもので終わることなく、継続していくために、併せて、私たちの活動を広く伝えていく手段として、「松江分自然環境倶楽部通信葦の原(Yoshi no Hara)」と倶楽部のホームページを作成し、発信していくこととしました。そして、できればたくさんの方々の共感とご支援を得て、より意義のある活動にしていきたいと考えております。

歩み始めたばかりの当倶楽部に対し、今後もたくさんのご理解、ご支援とご協力を賜りますようお願いを申し上げます。