ごあいさつ

松江分自然環境倶楽部会長 福田 直孝

松江分自然環境倶楽部は、出雲市斐川町黒目地区松江分自治会の住民 60 余名が集い、昨年(平成 23 年)4 月に発足いたしました。

活動の目的として、私たちが住んでいるこの豊かな自然と環境を守り、育み、そしてそれを将来に引き継いでいくことを掲げています。

私たちの住む松江分は、築地松で有名な簸川平野の東端に位置し、西は宍道湖の西岸、南は入り江状になった十四間川の堤防に囲まれた中にあります。十四間川を挟んだ南側は、県営出雲縁結び空港があります。宍道湖景観形成地域に指定されており、辺り一帯は、宍道湖の自然とのどかな農村風景が広がっています。そんな田舎ですが、道路も上下水道も整備され、生活に不便は感じません。都市部に住む方からみれば、私たちの住んでいる地域は、自然に囲まれたとても優雅で快適なところと映るかもしれません。

しかし、よく見ると、宍道湖岸やそこに流れ込む河川のほとんどは人口の護岸に変わってしまっており、それは、私たちの住む松江分地区においても例外ではありません。水辺にヨシやマコモ、ガマなどが生い茂り、夏には息苦しいほど濃密な緑の空気に支配され、ヨシキリや水鳥のやかましいほどの鳴き声が満ち、魚やシジミが群れていた昔の面影は、今やほとんどありません。水は濁り、流れ着いたごみが散乱する人工の水辺に次第に近づくことも稀になり、いつしか昔のような水辺と親しむ生活とは縁遠いものとなってしまいました。

そうした中で、私たちの地域を守っている堤防の沈下が進み、さらには漏水で生じているということが分かり、大きなショックを受けました。宍道湖の水面よりも低いところにある私たちの地域にとっては、堤防の異変は大変な出来事です。直ちに陳情し、関係方面の理解を得て、補修工事に着手していただきましたが、地元に住む者も、堤防はもとより自分たちの住む地域の環境を自ら守り、改善し、将来に引き継いでいかなければならないのではないかと自治会内で話し合い、自治会メンバーだけでなく、地域に住むより多くの者が主体的に参加し、活動できる組織を作ろうということになり、松江分自然環境倶楽部の発足となりました。

昨年 11 月 27 日には、葦の原の復元再生を願って、補修工事の終わった堤防の水辺にヨシの植栽を行いました。この活動に対して、しまね自然と環境財団の助成金を得たのをはじめ、NPO 法人自然再生センターほかたくさんの組織、方々のご支援を得て、大成功のうちに植栽事業を終えることができました。

そして、この活動を一回限りのもので終わることなく、継続していくために、併せて、私たちの活動を広く伝えていく手段として、「松江分自然環境倶楽部通信葦の原(Yoshi no Hara)」と倶楽部のホームページを作成し、発信していくこととしました。そして、できればたくさんの方々の共感とご支援を得て、より意義のある活動にしていきたいと考えております。

歩み始めたばかりの当倶楽部に対し、今後もたくさんのご理解、ご支援とご協力を賜りますようお願いを申し上げます。