シジミの陸上飼育試験続報

  大福工業(株)、(株)フクダ、松江土建(株)の地元企業三社と宍道湖漁協斐川漁業会が十四間川河口付近の松江分地区内で行っているシジミの陸上飼育試験の続報です。

  9月4日(水)、シジミの人工授精の作業が行われ、その模様を見学しました。

  台風17号の影響で夜半からの雨が止み間なく降り続く中、朝8時前には現地のシジミ飼育ハウスに、シジミの飼育を担当する大福工業の社員と作業をサポートする多数の斐川漁業会、松江土建、フクダの関係者が集まり、作業が開始されました。

  人工授精に使用するシジミは、斐川漁業会によって十四間川で掻かれたもので、宍道湖での産卵期間の終わりにさしかかっていることから、前日に松江分研修センターにおいて精子、卵子があるかどうか顕微鏡を用いて確認が行われた後、ヤマトシジミ種苗生産マニュアルに従って、10度程度で冷蔵されていたものです。

  受精作業は、まずどの程度の塩分濃度が最適なのかを調べるため、十四間川から汲んだ水を5psu(Practical Salinity Unitの略で、実用塩分単位ともいわれる。1psuは、濃度約0.1%)から11psuの4段階に調整したバットを用意し、そこにシジミを入れて、水温が放卵、放精に最適とされる28度前後に保たれました。この後、この結果をもとに人工授精に最適な塩分濃度を決定して、本格的に人工授精を行い、得られた種苗を飼育水槽に移す計画とのことです。

  産卵は、水温が適温になった後、まずミルク色をした精子の放出が始まり、次いで黄色みがかった卵子の放出が行われるとのことで、ヒーターによって水温が28度前後に保たれた後、この瞬間を見ようと試験担当者、斐川漁業会関係者らがバットを取り囲みました。早ければ30分~1時間程度で放精が始まるとされ、場合によっては数時間かかる場合もあるということであり、私も午前中いっぱい粘って見つめていましたが、残念ながら放精の瞬間を見ることは叶わず、ハウスを後にしました。

  今後、人工授精がうまく行われて、次の段階の飼育試験へと進んでいくことを願っています。

 

シジミの精子、卵子の確認作業の様子

シジミの精子、卵子の確認作業の様子

シジミの精子の顕微鏡写真

シジミの精子の顕微鏡写真

シジミの卵子の顕微鏡写真

シジミの卵子の顕微鏡写真

塩分濃度の調整作業

塩分濃度の調整作業

塩分を調整した湖水を入れたバットにシジミを入れる

塩分を調整した湖水を入れたバットにシジミを入れる

4種類の塩分濃度の異なるバットは、適温になるようヒーターで温められる

4種類の塩分濃度の異なるバットは、適温になるようヒーターで温められる

シジミの法制、放卵の開始を待つ関係者

シジミの放精、放卵の開始を待ってバットを見つめる関係者

 

 

 

コメントを残す