7月28日に行った魚の生息状況調査に続き、8月10日(土)朝6時から、覆砂場所におけるシジミの生息状況の調査を斐川漁業会の協力を得て実施しました。
十四間川左岸には、昨年5月から今年3月にかけ、合計10,000㎥余りの覆砂が行われ、浅場が造成されていますが、これがシジミに対してどのような効果があるのか、果たして覆砂場所にシジミは生息しているのかを確認しようとするものです。
調査は、覆砂場所の一番下流部と腹付盛土が終わる付近の2つの地点で、(1)底がメッシュになった砂を掻く小さなジョレンで覆砂をしたところの砂をすくい上げて、その中のシジミの稚貝等の生息状況を確認、(2)覆砂したところをシジミ漁に使う手掻きのジョレンで掻いて、シジミの生息状況を確認、(3)少し沖合の覆砂場所の先端部付近を船から掻いて、シジミの生息状況を確認するという方法で行いました。
その結果、いずれの地点でも、浅場では1週間から10日前ぐらいに産卵受精し、着底したばかりと思われる2~3mmの小さなシジミから、5mm前後、10mm前後といった生育段階の異なるシジミがたくさん確認され、20~25mmの出荷可能なサイズのシジミもたくさん確認できました。とくに、腹付盛土付近の手掻きのジョレンの枠部には、底生移行時に分泌する足糸腺から分泌する足糸によってたくさんのシジミの稚貝が付着していました。このように産卵着底したばかりのものから25mmほどに成長したものまで、さまざまな大きさの貝がたくさん確認されたことから、覆砂場所において非常に多くの浮遊幼生が着底して順調に成長していっていることが確かめられたと思います。
また、船で掻いた結果から、覆砂部分の先端部、前からある底泥との境目付近に特に多くのシジミが生息していることが分かりました。漁師さんに聞くと、シジミの色は、十四間川のシジミの特徴である茶色がかったものが多く、十四間川にいたものが繁殖したのであろうということでした。
たまたま当日付けの山陰中央新報にも、シジミの生息環境改善のため、斐伊川河口の河道確保のため浚渫される砂約3万㎥を出雲市小境町付近の宍道湖西岸に覆砂することが大きく報じられていました。過去の宍道湖への覆砂でも硫化水素の発生を抑え、シジミの浮遊幼生が着底して生育できる良好な環境が保たれているということであり、十四間川の覆砂場所での今回の私たちの調査でも効果が確認されましたので、今回の大規模な覆砂によって生物の生息環境改善が図られ、シジミ等の増殖に繋がればと思います。また、覆砂とともに水辺(浅場)のヨシ帯を復活させることによって、さらに水質改善が図られ、昔の宍道湖の自然が蘇えればと思います。
松江分自然環境倶楽部では、今後も継続してシジミの生息状況の調査など、引き続き覆砂やヨシの植栽の効果を確かめるための調査を実施していきたいと考えています。

調査の様子

小さなジョレンで覆砂場所の砂を掬い取り、砂の中のシジミの稚貝を確認

砂の中で見つかったシジミ
足糸がついた着底直後の者から15mmくらいに育ったものまでさまざまなサイズのシジミを確認

浅場の手掻きによる調査の様子(腹付盛土終端付近)

浅場の手掻きによる調査の様子(覆砂場所の最下流部付近)

手掻きのジョレンに入っていたシジミ(覆砂場所最下流部付近でとれたもの)

覆砂場所先端部付近での船掻きの様子

船掻きで獲れたシジミ

船掻きのジョレンを引き上げたところ
砂とヘドロが層となっており、その中にたくさんのシジミがいることが分かる

手掻きのジョレン
枠に足糸を絡ませて着底直後のシジミの稚貝がびっしりとついている

ジョレンに付着したシジミの稚貝

ジョレンに付着したシジミの稚貝