松江分自然環境倶楽部ほか7者が参加し結成した十四間川環境再生協議会では、十四間川において、覆砂による浅場造成、浅場へのヨシ植栽、浚渫窪地への高濃度酸素水供給、湖底撹拌、環境調査等十四間川の環境修復・再生のための様々な取り組みを行っていますが、昨年から今年春にかけて、延べ10,000㎥余りの覆砂を行い、また、6月から高濃度酸素水の供給を行うWEPシステムの連続運転を開始したところから、この効果を探るための生物調査が開始されました。
7月23日(火)朝6時から、斐川漁業会の漁師さんの船で、十四間川環境再生協議会顧問であるホシザキグリーン財団の越川環境修復マネージャーによって、刺網による魚類調査、採泥器によるベントス(底生生物)、プランクトンの採集が行われ、私も同行し、調査の様子を見学させてもらいました。
刺網は、覆砂場所付近、WEPシステムの設置されている5、6月頃から貧酸素状態となる水深約6mの窪地、その上流部の3か所に前日から仕掛けられていたものです。覆砂場所付近の浅い場所に仕掛けた網には、コノシロ、セイゴ、ボラ、フナなどの多くの種類の魚が数多くかかっていました。また、上流部に仕掛けた網には、多くのコノシロと数尾のセイゴがかかっていました。こちらは、ほとんど水面に近い網の上部に集中してかかっていました。一方、窪地に仕掛けた網には、中段にコノシロが1尾かかっていました。かかっていた位置からみて、底から2m位のところを泳いでいたものでしょうか。素人にはよく分かりませんが、普段貧酸素状態になっていると思われる高さであり、この位置に魚がいたことはWEPシステムの効果かなと感じられました。捕れたセイゴは持ち帰られ、大きさや食餌の内容などが詳細に調査されます。
当日は、このほかにプランクトンの採集と底泥の採集が行われ、その後船を下りて岸から投網による浅場の魚類の生息状況調査も行われました。
この調査は、WEPシステムの運転される貧酸素状態が続く10月頃まで定期的に実施されることとなっています。

十四間川右岸の船着き場から調査に出発
川の向こう側が松江分地区

浅場に仕掛けた刺網の引上げ
魚が次々に上がってくる

引き上げられた刺網
手前から、窪地、覆砂場所付近、上流部に仕掛けた網(いずれも左が上部)
魚のかかる位置が異なっているのがよく分かる

採泥器による川底の泥の採取

水深6m位の窪地の泥
ほとんど真っ黒で貧酸素状態であることがわかる

窪地との境目辺りの泥
色は真っ黒ではなく酸素があることを示しており、中には1cm大のシジミが数個確認される

十四間川のプランクトン
水が濁って見えるほど多くのプランクトンがいる

窪地の底付近のプランクトン
表層ほどではないものの非常に多くのプランクトンがいる

船着場岸壁からすくったイサザアミ(オダエビ)
十四間川に大量に発生し、スズキやセイゴなどの餌となる

イサザアミ(オダエビ)