覆砂場所の魚類調査を実施

  十四間川再生協議会でも覆砂の効果やWEPシステムによる高濃度酸素水供給の効果を大確かめるための魚介類の生息状況調査が行われていますが、このほど倶楽部でも独自に覆砂場所においてその効果を確かめるための調査を行いました。

  調査は、竹を細く割いて一升瓶を大きくしたような形のカゴにし、魚やエビなどが底の広い口からいったん入ったら出られないよう中に二段に漏斗状の返しを付けたウナギ筌(当地方ではウナギカゴと呼んでいる)10個を覆砂場所に浸け、翌日朝に引き上げて捕れた魚を調べるという方法で行いました。筌による漁は、主に底に棲む魚やエビ、カニなどが対象となります。ウナギを獲る漁師さんは、餌としてハチの子などを使うようですが、今回私たちは5個のカゴに魚肉ソーセージを切ったものを入れ、あとの5個には何も入れませんでした。

  7月28日(日)朝5時半から前日に沈めておいたカゴを引き上げた結果、残念ながらウナギの姿はありませんでしたが、体長約20cmの大型のウロハゼ、マハゼなどのハゼが49匹、手長エビが約30匹入っており、覆砂場所が魚やエビの棲み家になっていることが確認されました。調査が終わったあと、これらの魚やエビは船着き場から十四間川に放してやりました。

  倶楽部では、今後も独自にシジミの生息状況の調査など、引き続き覆砂の効果を確かめるための調査を実施していくこととしています。

ウナギ筌の中に餌を入れ、すぼまった部分に輪を嵌めて閉じる(7月27日)

ウナギ筌の中に餌を入れ、すぼまった部分に輪を嵌めて閉じる(7月27日)

長い竹竿の下から1m位のところに筌のひもを縛り付け、竹竿をさして川底に設置

長い竹竿の下から1m位のところに筌のひもを縛り付け、竹竿をさして川底に設置(7月27日)

筌の引上げ(7月28日)

筌の引上げ(7月28日)

筌の口の部分を閉じていた輪を外し、缶の中に獲物を移す(7月28日)

筌の口の部分を閉じていた輪を外し、缶の中に獲物を移す(7月28日)

筌の中に入っていたハゼやテナガエビ

筌の中に入っていたハゼやテナガエビ

捕れたハゼとテナガエビ この後すべて川に返した

捕れたハゼとテナガエビ
船着き場で調べたあとすべて川に返した

シジミの陸上飼育試験ハウスの工事始まる

  十四間川環境再生協議会のメンバーである株式会社フクダ、大福工業株式会社、松江土建株式会社が共同で実施するシジミの陸上飼育実験ハウスの建設工事が始まりました。現在、整地、測量を経て、ハウスの柱の組み立て作業が進められています。

  場所は十四間川河口付近の松江分地内の空き地で、ここに8m×16mの飼育ハウスを建て、飼育用の水槽を設置して、静岡県浜松市の佐鳴湖においてヤマトシジミの陸上繁殖に成功している辻野兼範氏(元浜松北高校教員、佐鳴湖シジミプロジェクト協議会副会長)などの知見も参考に、シジミの陸上飼育、飼育用餌の開発、機能性覆砂材利用の研究などが行われる予定です。

 

ヤマトシジミの陸上飼育研究ハウス建設場所 十四間川河口付近の空き地

ヤマトシジミの陸上飼育研究ハウス建設場所
十四間川河口付近の空き地

ヤマトシジミ飼育ハウス工事の様子

ヤマトシジミ飼育ハウス工事の様子

 

 

煙霧とpm2.5

  昨日に続き今日も県内は、pm2.5の値が上昇し、環境基準を大幅に超過するとともに煙霧が発生し、景色が白く霞みました。

  新聞によると、昨日は浜田市で午前9時から11時の平均値が60.0㎍、松江市で35.3㎍を記録し、松江市では視程が10㎞未満となる煙霧を観測したとされます。

  斐川平野でも昨日は山が霞んで見えなくなっていましたが、今日も同様に景色が白く霞む現象が発生し、夕方にはとくにひどくなり、旅伏山も全く見えなくなり、赤い夕陽が山の端に近づくにつれて次第に霞み、見えなくなってしまう程でした。島根県が公開している1時間ごとのpm2.5の値も、出雲では午後5時から61㎍、58㎍、53㎍、60㎍と健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましい水準として定められている環境基準値35㎍を大きく超過しました。

  斐川平野では、ここのところ連日強い西風が吹いていますが、この強い風が中国からpm2.5を運んできたのではないかと思います。

  遠く離れた日本でこのような状況ですから、当の中国の大気汚染のひどさはいかばかりかと想像するとぞっとさせられます。 

煙霧に霞む白鳥水門(午後5時頃)

煙霧に霞む白鳥水門(午後5時頃)

10㎞あまりしか離れていない旅伏山も今日は全く見えない

10㎞あまりしか離れていない旅伏山も今日は全く見えない(午後5時頃)

夕陽も真っ赤に霞みながら沈んでいく

夕陽も真っ赤に霞みながら沈んでいく(午後7時頃)

山の端に近づくにつれて真っ赤だった夕日も霞んで見えなくなっていく

山の端に近づくにつれて真っ赤だった夕日も霞んで見えなくなっていく(午後7時頃)

 

十四間川の生物調査が開始される

  松江分自然環境倶楽部ほか7者が参加し結成した十四間川環境再生協議会では、十四間川において、覆砂による浅場造成、浅場へのヨシ植栽、浚渫窪地への高濃度酸素水供給、湖底撹拌、環境調査等十四間川の環境修復・再生のための様々な取り組みを行っていますが、昨年から今年春にかけて、延べ10,000㎥余りの覆砂を行い、また、6月から高濃度酸素水の供給を行うWEPシステムの連続運転を開始したところから、この効果を探るための生物調査が開始されました。

  7月23日(火)朝6時から、斐川漁業会の漁師さんの船で、十四間川環境再生協議会顧問であるホシザキグリーン財団の越川環境修復マネージャーによって、刺網による魚類調査、採泥器によるベントス(底生生物)、プランクトンの採集が行われ、私も同行し、調査の様子を見学させてもらいました。

  刺網は、覆砂場所付近、WEPシステムの設置されている5、6月頃から貧酸素状態となる水深約6mの窪地、その上流部の3か所に前日から仕掛けられていたものです。覆砂場所付近の浅い場所に仕掛けた網には、コノシロ、セイゴ、ボラ、フナなどの多くの種類の魚が数多くかかっていました。また、上流部に仕掛けた網には、多くのコノシロと数尾のセイゴがかかっていました。こちらは、ほとんど水面に近い網の上部に集中してかかっていました。一方、窪地に仕掛けた網には、中段にコノシロが1尾かかっていました。かかっていた位置からみて、底から2m位のところを泳いでいたものでしょうか。素人にはよく分かりませんが、普段貧酸素状態になっていると思われる高さであり、この位置に魚がいたことはWEPシステムの効果かなと感じられました。捕れたセイゴは持ち帰られ、大きさや食餌の内容などが詳細に調査されます。

  当日は、このほかにプランクトンの採集と底泥の採集が行われ、その後船を下りて岸から投網による浅場の魚類の生息状況調査も行われました。

  この調査は、WEPシステムの運転される貧酸素状態が続く10月頃まで定期的に実施されることとなっています。

十四間川右岸の船着き場から調査に出発 川の向こう側が松江分地区

十四間川右岸の船着き場から調査に出発
川の向こう側が松江分地区

浅場に仕掛けた刺網の引上げ 魚が次々に上がってくる

浅場に仕掛けた刺網の引上げ
魚が次々に上がってくる

引き上げられた刺網 手前から、窪地、覆砂場所付近、上流部 魚のかかる位置が異なっているのがよく分かる

引き上げられた刺網
手前から、窪地、覆砂場所付近、上流部に仕掛けた網(いずれも左が上部)
魚のかかる位置が異なっているのがよく分かる

採泥器による川底の泥の採取

採泥器による川底の泥の採取

水深6m位の窪地の泥 ほとんど真っ黒で貧酸素状態であることがわかる

水深6m位の窪地の泥
ほとんど真っ黒で貧酸素状態であることがわかる

窪地との境目辺りの泥 色は真っ黒ではなく酸素があることを示しており、中には1cm大のシジミが数個確認される

窪地との境目辺りの泥
色は真っ黒ではなく酸素があることを示しており、中には1cm大のシジミが数個確認される

十四間川のプランクトン 水が濁って見えるほど多くのプランクトンがいる

十四間川のプランクトン
水が濁って見えるほど多くのプランクトンがいる

窪地の底付近のプランクトン 表層ほどではないものの非常に多くのプランクトンがいる

窪地の底付近のプランクトン
表層ほどではないものの非常に多くのプランクトンがいる

船着場岸壁からすくったイサザアミ(オダエビ) 十四間川に大量に発生し、スズキやセイゴなどの餌となる

船着場岸壁からすくったイサザアミ(オダエビ)
十四間川に大量に発生し、スズキやセイゴなどの餌となる

 

イサザアミ(オダエビ)

イサザアミ(オダエビ)

 

7月のヨシ植栽場所清掃を実施

  7月7日(日)、漏水調査、ヨシの生育状況調査に併せて十四間川のヨシ植栽場所周辺のゴミの収集活動を行いました。

  今回は、蒸し暑さの一段落する夕方から今月の当番3人で漂着したゴミを集めました。先月は、16日に子どもたちによるゴミの回収活動を行っていますので、3週間後となりますが、今回もたくさんの発泡スチロールやペットボトル、弁当殻などが漂着していました。

  きれいにしてもきれいにしてもゴミは流れ着いて、やっていることが虚しく思えてきますが、止めたらこれまでの努力が意味なくなります。これからも粘り強く清掃活動を続けていきたいと考えています。

 

ヨシの間に流れ着いた発泡スチロール

ヨシの間に流れ着いた発泡スチロール

弁当殻や肥料の袋など

弁当殻や肥料の袋など

ペットボトルやビニール袋

ペットボトルやビニール袋

改修したゴミ

改修したゴミ

 

植栽したヨシの生育状況(3)

  7月7日現在のヨシの生育状況をお伝えします。

  3月3日の植栽からまだ4か月しか経っていませんが、平成23年11月に初めてヨシを植えた時の状況と全く違って、大多数のヨシがしっかりと根付いて、大きくたくさんの茎を伸ばしてきています。やはり、しっかりとした浅場を作って、大きな株を植えつけたことと周囲を来待石ネットで囲んで波の影響を和らげるようにしたことが良かったのではないかと思われます。また、植え付け場所の高さも冬場の一番低くなる時期の水位とほぼ同じにし、年中適度に水が浸かるようにしたのも正解だったと思われます。そして、ヨシの生えなかったところやヨシの間からは、スゲやサンカクイといった他の植物も生えてきています。そして、23年11月に植えたヨシの方も、条件の悪い土嚢の際を生き延びてきたものは、一段と大きく成長してきています。

  このまま大きくなっていけば、秋の頃にはちょっとした葦原に成長してくれるのではないかと期待が膨らみます。

3月に食したヨシ全体の様子

3月に食したヨシ全体の様子

大きな根の塊を植えたのが成功し、大きな株となって立ち上がってきている 手前の方ではスゲも生えてきている

大きな根の塊を植えたのが成功し、大きな株となって立ち上がってきている
手前の方ではスゲやサンカクイも生えてきている

こちらは23年11月に植栽したヨシ 土嚢の際でたくましく成長してきた

こちらは23年11月に植栽したヨシ
土嚢の際でたくましく成長してきた

 

    

2013年7月の漏水調査の報告

調査日時

2013 年(平成 25 年)7月7日(日) 午前9 時

天候

小雨

調査結果

十四間川水位  79cm(前月:58cm)

漏水量   調査地点1 3,800ml/分(前月:1,400ml/分)

       調査地点2 1,000ml/分(前月:300ml/分)

  調査地点3   1,200ml/分(前月:400ml/分)

  調査地点4   400ml/分(前月:100ml/分)

  7日(日)午前9時から7月の漏水調査を行いました。梅雨も終盤に入り、連日降ったり止んだりしていますが、今日も朝方から午前中にかけて断続的に雨が降りました。

  連日の雨のせいで、十四間川の水位もここのところ急に上昇し、前月より21cm高い79cmを記録しました。今日は引いていましたが、昨日は、十四間川左岸にある船着き場が冠水していましたので、昨日はさらに20cmは上昇していたのではないかと思われます。

  漏水の状況は、先月に比べると大幅に増加しています。雨と十四間川の高水位が影響しているものと思われます。   

雨で増水し、水位標を固定する杭の頭も隠れそう

雨で増水し、水位標を固定する杭の頭も隠れそう

調査地点3での漏水調査の様子 1か月前に刈った草がまた伸びてきて、計量枡も見えない

調査地点3での漏水調査の様子
1か月前に刈った草がまた伸びてきて、計量枡も見えないほどに

調査地点4での漏水調査の様子 アサザの葉が集水路を覆うようになってきた

調査地点4での漏水調査の様子
アサザの葉が集水路を覆うように拡がってきた

2011年1月以降の漏水調査データは、以下に掲載していますので、併せてご覧ください。(クリックすると別にウィンドウが開き、グラフが表示されます。)

[PDF]十四間川左岸堤防漏水調査データ(2011年1月~2013年7月) 

出雲市長、国、県に対し要望活動を実施

  7月3日(水)、宍道湖西岸堤防改修促進期成同盟による、出雲市長、国土交通省中国地方建設局出雲河川事務所、島根県出雲県土整備事務所への宍道湖西岸堤防の改修促進等についての要望活動が行われました。

  松江分自然環境倶楽部もこの要望活動に同行させていただき、宍道湖西岸堤防及び十四間川左岸堤防の早期改修の実現、斐伊川河口部に堆積する砂の撤去、十四間川の環境修復事業(浚渫窪地への覆砂等)の推進について、要望を行いました。

  要望には、広報誌「葦の原」の最近号(第3号、4号)を手渡して、十四間川の堤防や川の状況、そして地元住民として私たちが取り組んでいる活動について説明しながら、上記3項目の早期実施を要望いたしました。

  市長、出雲河川事務所長、出雲県土整備事務所長とも、宍道湖西岸堤防、十四間川堤防の現状はもとより十四間川の状況や私たちの活動についてもよく理解していただいており、堤防危険個所の補修、抜本的改修計画立案のための調査、腹付盛土工事の継続等それぞれの所掌範囲において、鋭意検討し、実施に移しており、今後も国、県、市相互が緊密な連携を取りながら事業を進めていきたいとの説明をいただきました。

  倶楽部では、今後も早期実現を目指して継続して各方面に要望活動を行っていくこととしています。

 

出雲市長に要望書を手渡す伊藤繁満宍道湖西岸堤防改修促進期成同盟会長

出雲市長(右)に要望書を手渡す伊藤繁満宍道湖西岸堤防改修促進期成同盟会長

出雲市長に要望事項を説明する倶楽部の代表

出雲市長に要望事項を説明する倶楽部の代表

国交省出雲河川事務所長に要望事項を説明する伊藤期成同盟会長

国交省出雲河川事務所長に要望事項を説明する伊藤期成同盟会長

国交省出雲河川事務所長に要望事項を述べる倶楽部の代表

国交省出雲河川事務所長に要望事項を述べる倶楽部の代表

島根県出雲県土整備事務所長に要望を行う伊藤期成同盟会長

島根県出雲県土整備事務所長に要望を行う伊藤期成同盟会長

島根県出雲県土整備事務所長に要望を行う倶楽部の代表

島根県出雲県土整備事務所長に要望を行う倶楽部の代表