刺網による魚類生息調査を実施(2)

  本日(5月22日)午前7時から、昨日十四間川の浚渫窪地に仕掛けた刺網の引上げとベントス(底生生物)を調べるための川底の泥の採取が行われました。

  刺網を引上げた結果は、WEPシステム(高濃度酸素水供給装置)の設置してある場所付近が30㎝のコノシロ1匹、その上流の地点が36㎝と31㎝のセイゴ2匹、計3匹でした。漁師さんによれば、西風が吹いて茶色い汚れた水が差してきたため、魚が嫌っていなくなったのと汚れが網に付着して魚に網の存在が見えるようになったため、ほとんど魚はかからなかったということのようです。捕獲された魚は、船上で体長の計測、胃の内容物を確認するための胃の摘出等が行われました。

  ベントスの調査を目的とした川底の泥の採取は、6m余りの長い竿をつけたシジミ掻きのジョレンに細かい網目のネットを被せて、WEPシステム近くの水深約5mの窪地、その北側の堤防寄りの部分(水深約3m)と昨年の冬から今年3月にかけて覆砂を行った地点の3か所の泥が掻き取られました。5m地点から採取した泥は、タールのように真っ黒で硫化水素のにおいがしていましたが、それでも糸ミミズのような小さな虫が動いているのが肉眼でも確認できました。また、堤防寄りの部分の泥からは、大小さまざまなサイズのシジミやたくさんの小さな巻貝が確認できました。こちらの泥は、細かい砂がより多く含まれ、酸素が多苦あることを示す茶色い色をしていました。覆砂をした場所の方は、まだ覆砂後日が浅いためかシジミなどは確認できませんでした。

  魚の少なかった原因となった汚れた水は、刺網にもべっとりとくっついており、網をたたんでいくと少し緑がかったチョコレートを溶かしたような感じでべっとりとついています。匂いをかいでみるとかすかに藻のにおいがしました。漁師さんによると、一旦網についたものは高圧洗浄機などを使わないとなかなか落ちないということです。この正体を確かめるため、サンプルを取り、分析してもらうことになりました。水質は以前に比べて改善されつつあるとの説明と違って、湖底だけでなく、相変わらず湖水の汚濁も進んでいるのではないかと心配になりました。この汚れが何であるのかぜひ確かめてほしいものです。

  魚類及びベントスの調査は、この後6月初旬にかけて、もう1回実施することとされており、これによって魚類やベントスの生息状況を把握した後、WEPシステムの運転を開始し、窪地に高濃度酸素水の供給を行うこととされています。

昨日仕掛けた刺網の引上げ 透明だった網はたった一晩で茶色になっている

昨日仕掛けた刺網の引上げ
透明だった網はたった一晩で茶色になっている

 

べっとりとした汚れのついた網

べっとりとした汚れのついた網

刺網にかかったセイゴ

刺網にかかったセイゴ

コノシロ

コノシロ

網にかかった魚の胃袋の摘出

網にかかった魚の胃袋の摘出

6m余りのジョレンを使って水深5mの窪地の泥を採取

6m余りのジョレンを使って水深5mの窪地の泥を採取

深さ5mの窪地のヘドロ

深さ5mの窪地のヘドロ

浅い場所(右)と深い場所の泥の違い

浅い場所(右)と深い場所の泥の違い

網に付着した物質の採取

網に付着した物質の採取

 

刺網による魚類生息調査を実施

  本日(5月21日)、十四間川の浚渫窪地における魚類の生息状況を調査するための刺網の設置が行われました。

  これは、十四間川環境再生協議会の今年度の研究事業の一つである十四間川生物調査の最初の調査となるものです。宍道湖や十四間川では、毎年夏場になると貧酸素状態が発生しますが、協議会では貧酸素状態が最も大きくなる窪地にWEPシステムにより高濃度酸素水を供給してその改善効果を検証することとしています。

  しかし、この窪地における魚類や底棲生物の生息状況が不明であるところから、WEPシステムによる実験を開始する前に、これらの生息状況を調査し、システム稼働後の状況と比較することによって、システムの稼働に伴う生物への影響(効果)の検証を行おうとするものです。

  魚類の生息状況調査は、十四間川の浚渫窪地のうち、WEPシステムの設置されている付近と、対照区としてその上流のWEPシステムの影響の及ばない地点の2か所に刺網を設置して、生息状況が調査されます。

  今回の調査は、WEPシステム稼働前における両区の魚類の生息状況を調べるもので、午後3時から、宍道湖漁協斐川漁業会のメンバーの協力によって、WEPシステムの付近とその200m程度上流の水深約5m~6mの窪地に、いずれも5㎝、6㎝、7.5㎝の3種類の網目の刺網が設置されました。

  また、越川マネージャーによるプランクトンの採集も併せて行われました。

  刺網は、明日(22日)の朝7時に上げられ、網にかかった魚の種類や大きさなどが調査されることになっています。

  事前調査は、6月中旬までに2回実施される予定で、この後WEPシステムの連続運転が開始され、貧酸素状態に対する効果の検証が本格的に始まることになります。

刺網設置に出発する前の様子 対岸が松江分地区

刺網設置に出発する前の様子
対岸が松江分地区

 

刺網の設置

刺網の設置

刺網 網目が5㎝、6㎝、7.5㎝の3種類の刺網を設置

刺網
網目が5㎝、6㎝、7.5㎝の3種類の刺網を設置

プランクトンの採集

プランクトンの採集

プランクトンネットの下の採集器はエビの幼生で白くなっている

プランクトンネットの下の採集器はエビの幼生で白くなっている

エビの幼生

エビの幼生

 

植栽したヨシの生育状況

  一昨年(平成23年)11月の第1回ヨシ植栽活動及び去る3月3日(日)に第2回ヨシ植栽活動で植えたヨシの生育状況をお伝えします。

  一昨年のヨシは、土嚢袋の間という条件の悪い場所に植えつけられましたが、その中でしぶとく生き残ったヨシは、土嚢袋の下にしっかり根付いて、弱々しかった昨年と違って大きく葉を伸ばし始めています。

  そして、3月に植えたヨシの方も、前回の反省を踏まえて、来待石ネットで保護されたしっかりとした浅場を作り、重機を使って大きな株を植えつけたので、どの株からも青々とした芽を伸ばし始めています。前回と違って、新芽が伸び始める春に掘り取り、移植したのでそのダメージを心配していたのですが、そうした心配は杞憂に終わったようです。

  ヨシの植わった浅場を注意してみると、小さな魚が真っ黒な塊となって泳いでいます。外ではボラなどの大きな魚が水面からジャンプしていますので、大きな魚から逃れるために来待石ネットで囲まれた浅場に入り込んでいるのではないかと思われます。まだヨシが大きくなっていませんので、人が近付くと今度は浅場から深みに向かって、来待石ネットの間をさざ波を立てながら大挙して逃げ出していきます。この場所が葦原となれば、小魚、幼魚にとって大きな魚や鳥、そして人間の影から守ってくれる格好の棲家となるのではないかと思います。

  また、3月に行われた腹付盛土工事個所も芝が生えてきて、過去の腹付盛土された箇所と一体となって広い草原が出現してきました。早くヨシが生えそろって、子どもからお年寄りまでみんなが憩えるような 水辺になればいいなと思います。

3月に植栽したヨシ

3月に植栽したヨシ

3月に植栽したヨシ

3月に植栽したヨシ

平成23年に植えたヨシ 青々とした大きな葉が伸びてきている

平成23年に植えたヨシ
土嚢の根元で青々とした大きな葉が伸びてきている

撮影者の影に怯え、来待石ネットの間を浅場からさざ波を立てて一斉に逃げ出す小魚の群れ

撮影者の影に怯え、来待石ネットの間を浅場からさざ波を立てて一斉に逃げ出す小魚の群れ

3月の腹付盛土工事個所 播種された草の芽が出てきた

3月の腹付盛土工事個所
播種された草の芽が出てきた

    

ヨシ植栽場所の清掃を実施

  漏水調査の実施に併せて5月12日(日)ヨシの植栽場所に漂着するゴミの回収作業を行いました。これは、5月1日に開いた今年度の松江分自然環境倶楽部総会において、今後毎月漏水調査、ヨシの生育状況調査と一緒に実施していくことがきまったもので、今回がその第1回目の取り組みです。

  3月に浅場を造成し、ヨシの植栽を行った場所には、二日前に降った雨により流れてきたと思われる刈り取られた畔草や枯草の切れ端などが流れ着いており、その間にペットボトルや栄養ドリンクの空き瓶、発泡スチロールの容器、お菓子などの空き袋、スリッパなどたくさんのゴミが浮かんでいました。弁当殻やペットボトルなどを詰め込んだレジ袋も何個もありました。

  今月の当番の3人は、漏水調査の終わったあと、 金属製の箒や農業用フォークを使ってこれらのゴミを拾い上げて行きましたが、30分ほどの間に土嚢袋3袋に入りきらないほどのゴミが回収されました。

ヨシ植栽場所に流れ着いたたくさんのゴミ

ヨシ植栽場所に流れ着いたたくさんのゴミ

コンビニ弁当のカラなどを詰め込んだレジ袋や栄養ドリンクの空き瓶

コンビニ弁当のカラなどを詰め込んだレジ袋や栄養ドリンクの空き瓶

藁ゴミや枯草などに混じって浮かぶペットボトルや発泡スチロール

藁ゴミや枯草などに混じって浮かぶペットボトルや発泡スチロール

清掃作業の様子

清掃作業の様子

130512清掃2

130512清掃3

130512清掃4

2013年5月の漏水調査の報告

調査日時

2013 年(平成 25 年)5月12日(日) 午前8 時

天候

晴れ

調査結果

十四間川水位  62cm(前月:40cm)

漏水量   調査地点1 1,800ml/分(前月:1,600ml/分)

       調査地点2 300ml/分(前月:250ml/分)

  調査地点3   900ml/分(前月:400ml/分)

  調査地点4   300ml/分(前月:200ml/分)

  5月の漏水調査を、定例日である第二日曜12日の朝8時から実施しました。この日は、前日より7度も高い夏日となり、風もなく朝から少し動くと汗ばむ陽気となりました。

  堤防法面や下の部分は草が大きく伸びて、堤防の上からすぐに調査地点を見つけられない程です。来月2日には、市の一斉清掃作業の一環として堤防の草刈り作業を実施することとなってていますが、そのころには背丈以上に伸びて作業は重労働となりそうです。

  測定結果ですが、水位の方は、前月より22cmも高い62cmを記録しました。この値は、過去2年と比べても30cm位高い数値です。前々日に久しぶりにまとまって降った雨が影響しているのではないかと思われます。

  漏水の状況は、調査地点3が400mlから900mlと大幅に増加したのを除けばあまり大きな変化はありませんでした。

前々日の降雨による増水のせいか刈られた草や稲わらの切れ端などの水田から出たと思われるゴミがたくさん浮かんでいる

前々日の降雨による増水のせいか刈られた草や稲わらの切れ端などの水田から出たと思われるゴミがたくさん浮かんでいる

   

調査地点1での測定の様子 堤防は草が生い茂って緑一色

調査地点1での測定の様子
堤防は草が生い茂って緑一色

調査地点1の漏水の様子

調査地点1の漏水の様子

2011年1月以降の漏水調査データは、以下に掲載していますので、併せてご覧ください。(クリックすると別にウィンドウが開き、グラフが表示されます。)

[PDF]十四間川左岸堤防漏水調査データ(2011年1月~2013年5月) 

総会を開催しました

  5月1日(水)夜、平成25年度松江分自然環境倶楽部総会を開催しました。

  福田会長のあいさつに続き、平成24年度の活動及び決算について報告が行われ、異議なく承認されました。また、環境保全活動助成金を受けているしまね自然と環境財団に提出した活動報告についても事務局から報告がありました。

  次いで、平成25年度の活動計画案及び予算案について協議が行われ、提案どおり承認されました。今年度は、漏水調査の実施、ヨシの植栽活動、講演会の開催、イベントへの出展や広報誌/ホームページによる環境保全への啓発活動に加え、新たにヨシの植栽を行った場所の維持管理として、毎月の漏水調査/ヨシ生育状況調査に併せて漂着ゴミの回収活動を実施すること、地域の歴史/地勢、環境等についての学習にも力を入れていくことなどが決定されました。

  そして、ヨシ植栽場所の漂着ゴミの回収は、早速今月の漏水調査から実施することとなりました。

  漂着するゴミの問題は、回収によって解決するものではなく、海岸や湖岸、河川において回収を行い、一時的にきれいになったとしても、ゴミの投棄がなくならない限りゴミがなくなることはありません。河川の下流部、湖岸部に住む者としては、流れてくるゴミに怒りを覚え、また、いくら回収を行っても同じことの繰り返しで真の解決にはつながらないことに徒労感、虚しさを感じます。しかし、それでもゴミを拾うことによって環境が良くなることは事実であり、こうした活動を通じて少しでも投棄が減ることにつながっていけばよいのではないかと考えています。

総会の様子

総会の様子

森の誕生日2013に出展しました

  毎年4月29日(祝日昭和の日)に松江市宍道町のふるさと森林公園の誕生を記念して開催される「森の誕生日」のイベントに今年も出展しました。森と川、湖・海は相互に密接な関わりを有しており、磯焼けや湖の水質悪化には森の荒廃もその一因となっているとされるところから、森、川、湖・海が連携して環境問題に取り組もうという趣旨で十四間川・宍道湖の環境再生、復元に取り組んでいる松江分自然環境倶楽部も、昨年からこのイベントに参加しているものです。今年は20周年記念ということで催し物も多く、好天にも恵まれたところから公園内は多くの参加者であふれました。

  今年も認定NPO法人自然再生センター、宍道湖漁業協同組合斐川漁業会などとの共同出展で、それぞれの特色を活かした展示、即売等を行い、私たち松江分自然環境倶楽部は、昨年同様活動の内容を写真や図をパネルに展示するとともにパンフレットや広報誌を配布しました。展示スペースが昨年の2倍になったことから私たちが取り組んでいる活動をより詳しく紹介することができたと思いますが、内容が固すぎたのと展示だけのため残念ながら多くの方にご覧いただくことはかないませんでした。

  この2年間の反省を踏まえ、来年は、多数の来園者に興味を持って私たちのテントを訪れてもらえるような参加型の催しも加えていきたいと考えています。例えば、参加者に十四間川に生えているヨシを使って、誰でも簡単に作ることのできる「葦ペン」づくりをしてもらい、子どもさんには、森の誕生日の後間もなくやってくる母の日のプレゼント用に、自作の葦ペンを使ってお母さんの似顔絵を描いていただくことなどを考えています。そのほかシジミの殻を使った工作なども面白いかもしれません。来年の私たちのテントを楽しみにしていただけたらと思います。

展示パネル1 倶楽部の目的、漏水調査、広報誌の発行、ホームページの開設などを紹介

展示パネル1
倶楽部の目的、漏水調査、広報誌の発行、ホームページの開設などを紹介

 

展示パネル2 覆砂(浅場造成)の実施、十四間川環境再生協議会の結成、事業内容などを紹介

展示パネル2
覆砂(浅場造成)の実施、十四間川環境再生協議会の結成、事業内容などを紹介

展示パネル3 ヨシ植栽活動、講演会の開催などを紹介

展示パネル3
ヨシ植栽活動、講演会の開催などを紹介

卓上展示、配布物

机上展示、配布物

配布物を手に取る人

配布物を手に取る人

展示をみる人

展示をみる人

展示を見る人

展示を見る人

熱心に質問をしていただく

熱心に質問をしていただく

宍道湖漁協斐川漁業会のシジミ販売は今年も大人気

宍道湖漁協斐川漁業会のシジミ販売は今年も大人気

ためしに作ってみた葦ペンと葦ペンで書いたスケッチ、文字 柔らかい線、タッチが心地よく上手くなったような気にさせる

ためしに作ってみた葦ペンと葦ペンで書いたスケッチ、文字
柔らかい線、タッチが心地よく上手くなったような気にさせる