汽水湖環境サミット開催さる

  11月6日(火)松江市のくにびきメッセで開催された汽水湖環境サミットに参加しました。たくさんの方が入場し、会場には急きょ補助席も設けられ、約300人の方々が熱心に講演、事例報告やパネルディスカッションに耳を傾けました。

  基調講演では、北海道大学名誉教授で中海自然再生協議会会長の中尾繁氏と日本シジミ研究所所長中村幹雄氏から、それぞれ「感性鋭い汽水生態系」、「汽水湖  宍道湖の環境と生物~ヤマトシジミを中心に~」と題してお話がありました。二人のお話の中で、中尾氏の「塩分躍層、水温躍層の二つの躍層の発生は汽水湖の宿命であり、この宿命を人間の力で変えることは不可能ではないかもしれないが、それがどんな副作用を及ぼすのか不明であり、慎重に考えて行動することが必要である」、「汽水湖の保全、再生は、組織としての活動だけでなく、住民一人一人が自覚的に関わることが必要であり、周辺住民だけでなく山間部も含めて、汚れた水を流さないなどの取り組みをしていく必要がある」、中村氏の「改修を行う場合には、すべての面における環境、シジミでいえば、卵の段階、稚貝となって着底する段階、親貝まで成長する段階のすべてを考えてどうなのかを考える必要がある。一つの面だけを考えて安易に行ってはならない」、「宍道湖では、シジミ漁によって毎日0.2tの窒素やリンが除去されている。これを水処理や藻の刈取りなどによって処理しようとすれば大きな経費を要する。シジミを増やし、漁獲することによって経費をかけずに富栄養化を防止することができる」、「汽水生態系の復元対策はやってみてもうまくいかない場合が多いと考えられるが、それでも知恵を絞ってやっていかなければならない。そうすれば必ず路は開ける」という言葉が強いメッセージとして心に残りました。

  続く事例発表では、サロマ湖(北海道北見市)、網走湖(北海道網走市)、十三湖(青森県五所川原市)の現状と課題、取り組みの状況について報告がされ、どこもそれぞれ環境悪化や水産資源減少などの問題を抱えており、それに対しさまざまな形で行政、研究機関、団体、住民などが連携しながら問題の解決に当たっていることが分りました。

  パネルディスカッションでは、汽水湖環境の保全・再生への取り組み、学習・交流、活用の面から、現状とこれから今から何をなすべきかについてそれぞれの汽水湖の代表によるディスカッションが行われました。

  また、会場では、4つの企業による水質改善技術の見本市と11のNPO法人、団体の取り組みを紹介するコーナーが設けられ、十四間川環境再生協議会の構成メンバーである松江土建株式会社によるWEPシステム、NPO法人自然再生センターの活動の紹介が行われていました。

  これを契機に、より多くの方に汽水湖をめぐる環境の問題と汽水湖のすばらしさ、デリケートさを再認識していただき、その環境を守り、さらによくしていくために身近なことから行動に移していただく人が増えていけばと思いました。

中尾繁中海自然再生協議会会長による基調講演

中村幹雄日本シジミ研究所長による基調講演

パネルディスカッション

NPO法人自然再生センターの展示

松江土建株式会社のWEPシステム模型の展示

汽水湖環境サミットin松江レポート(このなかで私たちの活動が5ページにわたって紹介されました)

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