2012年11月の漏水調査の報告

調査日時

2012 年(平成 24 年)11月18 日(日) 午前 8 時

天候

曇り

調査結果

十四間川水位  65cm(前月:68cm)

漏水量   調査地点1 3,600ml/分(前月:2,500ml/分)

       調査地点2 400ml/分(前月:500ml/分)

  調査地点3   800ml/分(前月:400ml/分)

  調査地点4   500ml/分(前月:500ml/分)

  11月18日(日)朝8時から、11月の漏水調査を実施しました。毎月第2日曜日の朝8時からを基本としていますが、今月は都合により1週遅れで実施しました。

  水位は、65cmと先月とあまり変動はありませんでした。

  漏水量の方は、前日の降雨が影響したのか調査地点1と3の量が増加しています。一方、調査地点2、4については、あまり大きな変化はありませんでした。

調査地点2における調査の様子

 

調査地点3における調査の様子

  そして、セラミックサンド覆砂場所から見た今月のヨシの状況です。葉が少しずつ黄色くなってきました。混じって生えているマコモの変色が激しいようです。

セラミックサンドの覆砂場所から見たヨシの様子

  2011年1月以降の漏水調査データは、以下に掲載していますので、併せてご覧ください。(クリックすると別にウィンドウが開き、グラフが表示されます。)

[PDF]十四間川左岸堤防漏水調査データ(2011年1月~2012年11月) 

ヌートリア

ヌートリアが松江分自治会の川にも生息しています。

ネズミ目の動物で、見た目かわいいので微笑ましい感じですが、実は特定外来生物で、イネなどに被害をもたらしたり、繁殖力があって年に3回出産するとのことで生態系を壊してしまう恐れがあるらしいです。警戒心が強くてなかなか写真に撮ることができませんでしたが、なんとか撮影に成功しました。

白鳥飛来

  今日は朝から強い風が吹いて霰が降ったかと思うと急に日が射してきて穏やかになったりまた雨が降ったりとめまぐるしく天気が変わっていき、安心して外に出られない感じです。

  そんななか、昼前の少し日が差したときに頭上でコォーコォーと大きな鳴き声が聞こえてきました。白鳥だ!と思ってすぐに外に出てみると、20羽ほどの白鳥の群れが少し離れた田んぼの中に降りました。

  白鳥が斐伊川河口に飛来してから、毎朝夕に頭上を通過して餌場とねぐらを往復しているのですが、これまでなかなか松江分には降りてきてくれませんでした。

  これはシャッターチャンスとすぐにレンズを望遠に換えてそっと近寄ってみました。数を確認すると18羽が認められましたが、その中の多くは灰色がかった色をしており、まだ幼鳥のようです。

  田んぼの真ん中で身を隠すところもないので、注意してかなり遠くからカメラを構えたのですが、まだ警戒心が大きいのか一斉に首をもたげて警戒しています。少し脅かしてしまったかもしれませんが、これに懲りずに毎日やって来て優雅な姿を見せてほしいものです。

松江分に飛来した白鳥(向こうに見えるのは、十四間川堤防、湖沼自然浄化活用事業による覆砂用の砂の山とクレーン)

松江分の空を舞う白鳥の群れ

シジミ陸上飼育実験検討会開催

  11月14日(水)、松江分研修センターに十四間川環境再生協議会のシジミ陸上飼育実験関係者が集まり、実験の実施に向けた検討が行われました。

  参加者は、徳岡協議会会長(NPO法人自然再生センター理事長)、シジミ養殖の研究者であり、今回の飼育実験の技術的指導を受けている相崎守弘島根大学名誉教授(自然再生センター副理事長)、飼育池の建設、水の管理、高濃度酸素水の供給などを担当する松江土建株式会社、株式会社フクダ、大福工業株式会社とこの事業について補助金の申請等でアドバイスを受けている公益財団法人しまね産業振興財団に現地の松江分自然環境倶楽部からの合わせて12名です。

  飼育池計画図やヤマトシジミの潜砂試験結果などを基に、池の構造や給水、排水、水流、水温、底質の材質や粒度等の条件、餌の問題などについて検討が行われ、これに基づいてさらに計画を詰め、来年度の公的な助成金の獲得を目指していくこととなりました。

湖沼自然浄化活用事業による覆砂工事始まる

  五右衛門川宍道湖湖沼自然浄化活用事業による五右衛門川の覆砂工事が今日(12日)からはじまりました。

  この事業は、島根県環境生活部環境政策課が環境省の委託を受けて、昨年度と今年度の2か年実施しており、覆砂をすることによって湖底からの栄養塩の溶出を抑制し、シジミなどのマクロベントス(0.5㎜~1㎜以上の底生生物)が棲息できる良好な水環境を作り出す自然浄化機能による水質改善効果を検討することを目的としているものです。

  今年度は、昨年度覆砂をした場所の下流側の40m×50mの区域に1000㎥余りの覆砂が行われることになっており、今日から斐伊川下流で採取された砂が10tダンプで続々と運ばれ、十四間川堤防に降ろされています。降ろされた砂は、クレーン付きの台船に積まれ、十四間川の中央付近の試験区域に覆砂されることになります。台船もすでに到着し、砂のたくさん溜まるのを待っています。

  この事業による砂の運搬が終わった後に引き続いて、私たち十四間川環境再生協議会が実施する浅場造成のための砂約1800㎥の運搬が行われることになっており、しばらく堤防上はダンプカーの往来が続くことになりそうです。

自然浄化活用事業覆砂工事現場(腹付、ヨシ植栽場所東端から河口を望む)

斐伊川から運んできた覆砂用の砂を降ろすダンプカー

実験箇所に砂を撒くためのクレーン付き台船

汽水湖環境サミット開催さる

  11月6日(火)松江市のくにびきメッセで開催された汽水湖環境サミットに参加しました。たくさんの方が入場し、会場には急きょ補助席も設けられ、約300人の方々が熱心に講演、事例報告やパネルディスカッションに耳を傾けました。

  基調講演では、北海道大学名誉教授で中海自然再生協議会会長の中尾繁氏と日本シジミ研究所所長中村幹雄氏から、それぞれ「感性鋭い汽水生態系」、「汽水湖  宍道湖の環境と生物~ヤマトシジミを中心に~」と題してお話がありました。二人のお話の中で、中尾氏の「塩分躍層、水温躍層の二つの躍層の発生は汽水湖の宿命であり、この宿命を人間の力で変えることは不可能ではないかもしれないが、それがどんな副作用を及ぼすのか不明であり、慎重に考えて行動することが必要である」、「汽水湖の保全、再生は、組織としての活動だけでなく、住民一人一人が自覚的に関わることが必要であり、周辺住民だけでなく山間部も含めて、汚れた水を流さないなどの取り組みをしていく必要がある」、中村氏の「改修を行う場合には、すべての面における環境、シジミでいえば、卵の段階、稚貝となって着底する段階、親貝まで成長する段階のすべてを考えてどうなのかを考える必要がある。一つの面だけを考えて安易に行ってはならない」、「宍道湖では、シジミ漁によって毎日0.2tの窒素やリンが除去されている。これを水処理や藻の刈取りなどによって処理しようとすれば大きな経費を要する。シジミを増やし、漁獲することによって経費をかけずに富栄養化を防止することができる」、「汽水生態系の復元対策はやってみてもうまくいかない場合が多いと考えられるが、それでも知恵を絞ってやっていかなければならない。そうすれば必ず路は開ける」という言葉が強いメッセージとして心に残りました。

  続く事例発表では、サロマ湖(北海道北見市)、網走湖(北海道網走市)、十三湖(青森県五所川原市)の現状と課題、取り組みの状況について報告がされ、どこもそれぞれ環境悪化や水産資源減少などの問題を抱えており、それに対しさまざまな形で行政、研究機関、団体、住民などが連携しながら問題の解決に当たっていることが分りました。

  パネルディスカッションでは、汽水湖環境の保全・再生への取り組み、学習・交流、活用の面から、現状とこれから今から何をなすべきかについてそれぞれの汽水湖の代表によるディスカッションが行われました。

  また、会場では、4つの企業による水質改善技術の見本市と11のNPO法人、団体の取り組みを紹介するコーナーが設けられ、十四間川環境再生協議会の構成メンバーである松江土建株式会社によるWEPシステム、NPO法人自然再生センターの活動の紹介が行われていました。

  これを契機に、より多くの方に汽水湖をめぐる環境の問題と汽水湖のすばらしさ、デリケートさを再認識していただき、その環境を守り、さらによくしていくために身近なことから行動に移していただく人が増えていけばと思いました。

中尾繁中海自然再生協議会会長による基調講演

中村幹雄日本シジミ研究所長による基調講演

パネルディスカッション

NPO法人自然再生センターの展示

松江土建株式会社のWEPシステム模型の展示

汽水湖環境サミットin松江レポート(このなかで私たちの活動が5ページにわたって紹介されました)