月別アーカイブ: 2012年10月
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ホシザキグリーン財団理事長 十四間川を視察
十四間川環境再生協議会の構成団体の一つで、十四間川に生息する魚介類等の調査や協議会が行う実験事業実施に資金面からの支援も得ている公益財団法人ホシザキグリーン財団の坂本精志理事長(ホシザキ電機株式会社代表取締役会長)が25日来県され、同財団の越川敏樹宍道湖自然観ゴビウス館長の案内で、十四間川の環境修復実験事業の様子を視察していただきました。
視察では、前日に行ったセラミックサンドを利用した機能性覆砂材による水質浄化実験について説明するとともに、現在協議会が取り組んでいる事業の趣旨やそれぞれの内容について、松江分自然環境倶楽部と斐川漁業会の役員から説明を行いました。坂本理事長からは、この事業の成果への期待と今後島根大学などの研究機関との連携を進め、学術的な実験研究と十四間川における実証的な実験事業とが一体となったより効果的な宍道湖・十四間川の環境復元のための体制を作る必要があるのではないかとの示唆をいただきました。
機能性覆砂材(セラミックサンド)による覆砂実施
10月23日(火)、24日(水)の両日、十四間川環境再生協議会の事業として、セラミックサンドと来待石を十四間川に設置し、水質浄化機能の検証実験を開始しました。
これは、今年度十四間川環境再生協議会が取り組むこととしている5つの事業のうちの一つで、機能性覆砂材を用いた覆砂による十四間川の環境修復、改善実験事業として実施したものです。
機能性覆砂材には、様々なものが開発されているようですが、今回は、石州瓦の製造過程において発生する規格外品を粉砕したセラミックサンドを砂に代わる覆砂材として利用するものです。セラミックサンドは、微小な穴が多数空いた多孔質の物質で、そこにバクテリアが繁殖し水中の有機質を吸着分解するため、水質浄化効果が期待されています。
今回使用したセラミックサンドは、江津の瓦メーカー株式会社丸惣がリサイクル商品として製造している大きさ5㎜以下のもの10トンを、水質浄化の検証用として無償で提供を受けたものです。また、来待石灯ろう協同組合の協力を得て、セラミックサンドが波などによって流出してしまわないように来待石の端材を1トンずつ30袋のネットに詰めたものを周囲を囲むように置きました。来待石にはゼオライトが含まれ、こちらにも水質浄化機能があるとされており、この組み合わせによって一層効果が高まることが期待されます。
実験場所は、昨年ヨシの植栽を実施した箇所の西端から約20mほどを選定しました。ヨシの植栽場所の先が急に深くなっていることから、広げてヨシの繁茂する場所、水生生物の住処を確保することとしました。
作業初日の23日は、事前準備として、若干の砂を入れて均平になるよう重機でならした上に、来待石のネットを投入してセラミックサンドを敷く場所の周囲を囲みました。
翌24日は、斐川漁業会、松江分自然環境倶楽部、大福工業株式会社の十四間川環境再生協議会メンバーのほか、セラミックサンドの提供を受けた株式会社丸惣から佐々木社長ほか4名の方も駆けつけていただき、約25名が参加してセラミックサンドの敷詰めを行い、その後シジミの稚貝を撒き、作業を終えました。今後は、定期的に調査を行い、水質浄化機能、シジミの繁殖状況等の調査を実施するとともに、ヨシの植栽も実施していく予定にしています。
当日は、NHK松江放送局、山陰中央新報社、島根日日新聞社の取材もあり、新聞には早速本日(25日)付けの新聞に大きく報道していただきました。また、NHKでは、29日(月)の「しまねっとNEWS610」において紹介される予定です。
十四間川に硫化水素発生(続報)
昨日の十四間川の硫化水素の発生は、今日はほぼ収まったようで硫黄のようなニオイも湖水の白濁もなくなりました。これで一安心なのですが、問題は、昨日の硫化水素が魚介類等にどの程度の影響(ダメージ)を与えているかという点です。
漁師さんから、魚が死んだ場合、いったん湖底に沈んで、2日目くらいに浮かんでくるので、明日辺りにどの程度の影響があったのかが分かるのではないかということを聞きました。それでもよく見れば今日でも何か変化があるかもしれないと思い、堤防の斜面を下りて、水辺をたどってみました。
そうすると、WEPシステムの設置してある辺りの少し上流からヨシの植栽地辺りにかけての水底に魚が死んでいるのを発見しました。なかには水面に浮かび上がっている魚もあります。
死んだ魚の種類としては、小さい魚が多く、セイゴの小さいもの、サヨリやハゼ、エビなどを確認することができました。大きな魚は、いち早く宍道湖の方に逃れて行ったのかもしれません。
3~400mの岸辺を歩きながら目視しただけですので、全体としてどの程度の影響があったのか分かりませんが、昨日の水質調査によれば、原因はやはり硫化水素の発生で、十四間川のWEPシステム辺りから上流は、ほとんど溶存酸素量(DO)の値がほぼゼロだったということも聞きました。この前のような魚の大量斃死といったことのないよう願うばかりです。
十四間川に硫化水素発生?
今朝(23日)庭に出てみると、火山の近くの温泉に行ったようなニオイがします。なんだろうと思いましたが、よくわからないまま十四間川の堤防まで出かけてみました。
そうすると、十四間川が白く濁って、そこから硫黄のようなニオイが発生していることが分かりました。漁協の人も集まっていて、すでに水産試験場にも連絡がされて、職員の方が調査にかかっていました。聞いてみると、十四間川に硫化水素が発生したのではないかとのことですが、正確になんであるのかも原因も現段階では分からないとのこと。
十四間川の一番奥の部分にある船着き場では、セイゴやフナが水面に浮いてきて手で捕まえられるほど弱っていました。また早朝にはエビもたくさん寄ってきていたそうです。河口の方に行ってみると、白く濁ったところとそうでないところがくっきりと境になっているのが確認できます。現在のところどうやら十四間川だけに発生しているようです。これ以上異変が広がらないことと一刻も早い原因の究明、対策を願うのみです。
シジミ飼育実験が日経新聞に紹介されました
ヨシの生育状況報告(9)
10月14日(日)に漏水調査に併せて行ったヨシの生育状況調査の結果をお知らせします。
前回(9月)の報告において、ヨシよりもマコモが目立つことを報告しましたが、今月の状況は、下の画像のとおりさらに勢いよくマコモが育って、ヨシはその間に隠れて余り目立たなくなっています。今年は、ずっと水位の高い状況が続いており、やはりヨシよりも深いところで生育が可能なマコモの方に適した環境になっているのかもしれません。
マコモもヨシと同じように水質を浄化するといわれており、また、ともに岸に打ち寄せる波を和らげ、小さな水生生物の棲みかや隠れ家ともなるとされています。実際に、宍道湖自然館ゴビウスの越川館長による魚類等の調査では、私たちの植栽した場所でも多くの生きものが寄ってきていることが確認でき、特に小さなエビが非常に多く寄ってきていると教えていただきました。
かつてこの辺りは、マコモがびっしり生い茂っていたことを考えれば、ヨシだけの水辺よりもより自然に近づいているともいえ、これはこれでよいのではないかと思います。今後どのように変化していくのか楽しみに見守って生きたいと考えています。
植栽場所は、このように勢いよくヨシやマコモなどが生え育っているところのほかに、かなりの長さにわたってヨシが枯れてしまってヨシの根を止めていた竹串だけが水に揺れている部分が数箇所できています。これは多分、他の場所より多少低かったとか、土嚢の間が狭く、十分な土がなかった等の悪条件によってヨシの生育が遅れていたところに、今年の高水位に襲われ水上にまで茎を伸ばすことができず、腐れてしまったのではないかと想像しています。
今年も続けてヨシの植栽を行っていく予定ですが、これまでの約1年間の観察の結果を踏まえて、さらに効果的なヨシの植栽や管理の方法等を試していく必要があると考えているところです。
2012年10月の漏水調査の報告
調査日時
2012 年(平成 24 年)10月14 日(日) 午前 8 時
天候
曇り
調査結果
十四間川水位 68cm(前月:76cm)
漏水量 調査地点1 2,500ml/分(前月:2,600ml/分)
調査地点2 500ml/分(前月:450ml/分)
調査地点3 400ml/分(前月:450ml/分)
調査地点4 500ml/分(前月:400ml/分)
10月14日(日)朝8時から、10月の漏水調査を実施しました。
水位は、先月より8cm下がって68cmでしたが、それでも例年よりは高い状況が続いています。東風が吹くようになり、姿を消していたアオコが水位標のある十四間川の奥の方まで寄せてきていました。
漏水調査の方は、堤防に生い茂っている雑草の除草作業が調査日の数日前に行われたため、雑草の中を分け入ることも朝露に濡れることもなく、漏水状況の確認や測定を行うことができました。
無線操縦の自走式大型草刈機で除草が走行したため、漏水のある箇所は、草刈機の無限軌道(キャタピラ)によって、ぬかるんで黒くなっています。
各地点の漏水量は、先月とあまり大きな変化はありませんでした。